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2019.12.04

「タワマン節税」に衝撃走る!

税務に関する情報

  11月19日付日経新聞に、マンションについて路線価で評価して相続税の申告をしたところ、税務署はマンションの時価で課税し、東京地方裁判所もそれを認めたという記事が載っていました。
 都内のタワーマンションは目が飛び出るくらいの高値で取引されていますが、それを路線価で評価するとその取引価額の1/5程度になってしまうことも珍しくありません。この時価と評価額の格差を使って節税するのが「タワーマンション節税」です。この記事に取り上げられていた事例は、都内のマンションは購入価額8.37億円で評価額は2億円、武蔵小杉のマンションは購入価額5.5億円で評価額1.3億円だったようです。

 8億円で買ったマンションが路線価で評価すると2億円なのですから、相続対策としてタワーマンションを購入するのが流行するのは当然です。相続開始前にタワーマンションを8億円の借金で購入し、相続税の申告ではマンションが2億円で借金が8億円ということで6億円が相続財産から減額され、相続税は2億円とか減額されることになります。その後、そのタワーマンションが8億円で売却できれば借金も全額返済できて「安全で確実なの相続対策」だということになります。

 税務当局がこのような節税に対し、警鐘を鳴らす意味で、この案件について「路線価ではなく時価で課税する」ということを行ったわけです。「節税の行き過ぎについて歯止めをかける」ということは、今までも行われてきたことであり、多くの国民はこの課税についてあまり問題視しないと思います。

 しかし、課税の根本原理からするとこの課税やそれを認めた判決には大いに問題があります。というのも、相続税法で不動産の価格は国税庁長官が定める評価基準に従って時価を定めることになっているからです。いくら時価と評価額の格差が大きいからといっても、国税庁長官が路線価を定めて、それによって土地を評価しなさいとしている以上、路線価が100で時価が200だとしても路線価で評価するのが原則です。建物の建築価額が100なのに固定資産税評価額が30しかないとしても、相続税の申告では30で評価すべきです。
 タワーマンションがブームで路線価評価や固定資産税評価額と乖離が著しいいとしても、法律を改正しないまま「時価で課税」するのは乱暴すぎるのです。

 「租税法律主義」というのは、「法律がなければ課税なし」という大原則で、マグナカルタやフランス革命、アメリカ独立戦争など、多くの国民の血と汗の犠牲の上で確立された近代国家の基本原理なのです。

 生命保険についても、あまりに節税効果の高い商品はその税務の取り扱いが是正されますが、あくまで「通達改正をした後」の取り扱いから変更されます。有利な鳥熱い会で契約した従前の保険契約には訴求されません。それは租税法律主義の原理原則だからです。

 相手が生命保険会社である場合は、組成法律主義を守るが、相手が一個人である場合には「法律や通達を改正しないまま課税する」というのはどうかと思います。しかも多くの「タワマン節税」が行われており、たまたまこの納税者が見せしめに課税されたわけですから疑問といわざるを得ません。

そもそも、本来はマンションの評価方法を変更すべきなのです。タワーマンション節税が行き過ぎだと判断すれば、課税当局がタワーマンションの相場に合わせてマンション用の評価基準を用意するすべきなのです。

 租税法律主義は、課税当局が最も遵守すべき大原則であり、納税者はこの原則をしっかり主張すべきなのです。

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