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2019.12.21

海外取引の追徴税額が急増している

税務に関する情報

 国税庁が発表した平成30事務年度(平成30年7月1日から令和元年6月31日)の調査事績によると、法人税の海外取引に係る申告漏れは前年に比べて189%という大幅な増加だったようです。
最近の海外取引の法人税の申告漏れは
平成26年事務年度 2206億円
平成27年事務年度 2308億円
平成28年事務年度 2366億円
平成29年事務年度 3670億円
平成30年事務年度 6968億円
と右肩上がりで増加しています。平成29事務年度から急増している原因ですが、経済のグローバル化に伴って、海外取引自体が増加しているのが最も大きな原因ですが、「海外取引に関する資料情報の充実」ということも大きく寄与していると思われます。

 税務署が様々な税務調査や資料収集で、海外取引についての資料収集をしており、その情報量の蓄積は相当な量になっています。そしてその情報に基づいて調査を積み重ねることにより海外取引に関する調査技術も向上しているということです。

 そして法人だけではなく、富裕層に対する個人の調査も最近成果を上げています。海外取引した富裕層に対する税務調査で、平成30年事務年度においては、1件あたり平均914万円の追徴をしました。通常の個人の調査事績では1件当たりの平均追徴額は180万円であったのですから、なんと5倍の追徴税額ということになります。

 2025年には団塊の世代約800万人が後期高齢者となります。後期高齢者が急増するのですから社会保障費は急増することになります。生産年齢人口は急減するのですから、法人税や所得税という「所得課税」の税収の増加は期待できません。消費税も2019年10月に10%に増税したばかりですからそう簡単に税率を上げるわけにはいきません。

 そうなると「資産課税の強化」という手段しか税収確保の道は残されていないことになります。
 そんな日本から富裕層は財産を海外に移転させたいと思うのは当然のことですが、国税庁は財産の海外移転に目を光らせるということになります。

 日本は富裕層にとって優しい国ではありません。わずかな海外取引でも要注意です。

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