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2020.11.15

愛は技術である

ブログ 読書の部屋

最近読んだ本に「愛することについて」という本があります。エーリッヒ・フロム(1900年~1980年)というドイツ生まれの学者が書いた本です。
彼は、愛は「生きることが技術であるのと同じく、愛も技術であると知ることである。どうすれば人を愛せるようになるかを学びたければ、他の技術、たとえば音楽、絵画、大工仕事、描く、工学などの技術を学ぶときと同じ道をたどらなくてはならない」と言っています。そしてその技術を習得するためには、
➀理論に精通すること
➁その練習に励むこと
としています。

愛については古くから世界中のいたるところで語られてきました。日本も万葉の時代から恋や愛がうたわれ、聖書も愛について数多く語っています。そしてそれらのほとんどが、愛は感情なのでコントロールできないものとして語られてきました。私はシェイクスピアの作品はロミオとジュリエットしか読んだことはないのですが、そこで書かれている恋はまさにコロナウイルスと同じく感染するもの、陥るものとしてあがかれています。

私を含め多くの人が、愛を感情だと勘違いして、「愛する実力」をつけるための訓練を怠っています。愛が技術であることをもっと多くの人が認識すれば、この世の中は「愛する実力のある人」が増えることになります。

愛についてはもう一つ、トルストイが書いた短編で「人は何のために生きるか」という小説を読みました。ある靴職人が町に集金に行っても集金できなかったその帰りに、裸でうずくまる人を見かけて、なんだか助けたくなって家に連れて帰ったのです。妻は家にわずかなパンしかないのにお金も持って帰らないどころか見も知らぬ他人を連れて帰ってきた夫に腹を立てるのですが、なぜか夕食を提供し衣服も着せます。
その人は靴職人の下で靴職人としてとてもいい仕事をして評判になります。
実はその人は、精霊で神様に命を取ってこいと命じられたにもかかわらず、あまりにかわいそうなので怠けてしまったところ、神様に罰を与えられて裸でうずまっていた精霊だったのです。神は「人は何で生きるのか」をその精霊に宿題として与えられていたのですが、靴職人と暮らすうちに人は愛のために生きるということがわかり、再び点に戻るというかぐや姫のような話です。

愛というものが、お金よりも何よりも大切だということは頭ではわかっていても現実の生活では「お金のため」を優先しがちですよね。でも愛が技術であるとすれば、その技術を磨くために学ぶこと、そしてその実力を鍛錬することが大切であると思いました。

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