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2021.04.12

国債の60年償還ルールは国家を破綻に導く

ブログ 税務に関する情報

 コロナ禍に対する財政支出が膨らんでいるため、2020年の我が国の歳出は怖ろしい規模に膨れ上がっています。2020年度に新規発行した国債は、建設国債が18兆7360億円、特例国債が71兆4209億円が発行されました。これと借換債を合わせるとなんと250兆円を超える国債が発行されたことになります。借換債というのは満期償還を迎えた国債を償還するために発行する国債なのですが、満期を迎えた国債の98.4%は借り換えしているのですから驚きです。

 10年国債を発行すれば、10年後には満期償還しなければならないのですが、その資金の98.4%は借換債を発行して償還しているのですから、元本の返済は1.6%しか行われないということです。この1.6%しか元本を償還しないのかというと、通常建設国債を発行して何か公共事業で道路や建物などの公的な施設を建設すると、この建設した施設は通常60年くらいもつから、1÷60年=1.66%なので1.6%ルールというのができたようです。

 これを特例国債、すなわち赤字国債にも適用しているというのですから恐ろしいことです。今、日本国は自転車操業もいいところです。この話をすると、多くの御用学者や専門家が、「日本は大丈夫なんだ」、「そんな不安をあおるのは財務省の回し者だ」という批判を受けます。でも本当に大丈夫なのでしょうか?

 「いくら国債を発行しても大丈夫なんだ」という理論の根拠は、➀日本の国際収支は黒字だ、➁借金もあるけど試算もある、➂日本は対外資産をたくさんもっている、➃日本は通貨発行している国だから大丈夫 なのだそうです。

 でも、ここまででたらめな自転車操業を続けていたら、日本円の信任が低下して大幅な円安を招くことは容易に想像できます。国債を購入してくれなくても「日銀が直接買えばいいのだ」という論者も多いのですが、通貨をジャンジャン発行して円安にならない理屈はいくら聞いても理解できません。金融の世界で「絶対大丈夫」という理論は信用しない方がいいのです。「絶対上がる株」がないのと同じく、為替も金利も予測することは不可能なのです。
 そしていくら日本人が貯金を持っていても、対外資産を持っていてもそれは政府の財産ではないのですから、預金封鎖して財産税でも課税しない限り国債の償還財源とはならないのです。対外資産だって、持っているのは政府ではなく日本人や日本の企業です。日本政府が困っているからと言って、政府にお無償提供してくれる日本人や日本企業がどれだけいるのでしょうか?

 

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