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2021.11.11

人類と科学の400万年史

ブログ 読書の部屋

 「本との出会い」というのはありがたいものです。ここで紹介する「人類と科学の400万年史」という本は普段いつも言っている本屋の本棚に並んでいたものでした。たまたま手に取って、たまたま購入した本でしましたが、理系の本なので最後まで読めずに、途中で放り出してしまう本かもしれないと思っていました。
 ところが読み始めたら面白いので、一週間もかからずに読み終えました。いままでなんとなくわかっていたダーウィンの進化論、ニュートンの運動力学などが、その背景や周りの反応まで含めて知ることができました。そして言葉として走っていましたが、「量子」の世界について学ぶことができて本当に感激しました。

 私たちの目で見える世界について、ガリレオやダーウィンやニュートンは、様々な発見をしてこの世界の仕組みを説明してくれました。そのことによって、人類はこの世の中を解釈することができて科学を発展させてきました。ニュートン的な世界観からすれば、人類の英知には限界はなく、すべての世界が合理的に説明できると思っていたのでした。ところがよく考えてみると、この世の中には「重力エネルギー」以外のエネルギーに満ちていて、そのエネルギーがどうして発生するのか、ニュートン力学ではほとんど説明できないのでした。

 「量子」の世界というのは、私たちの目にすることのできない原子よりも小さな世界のことです。宇宙が無限に広がっているのと同じように、ミクロの世界も無限に広がっているのです。
 実はこの量子の研究が進んだことによって、私たちの生活は画期的に変わったのです。コンピュータ、インターネット、人口衛星、携帯電話、電子機器の全てがこの量子の知識を利用しているのです。したがってこの量子の法則の発見は人類に産業革命に匹敵する「量子革命」をもたらしたといわれているのです。

 私たちの世代は、ニュートン力学しか学んでこなかったし、物理は高校までしかなかったので、理系の専門分野に進まない限りおおまかなマクロ物理しかしらないため、ニュートン的発想(目に見えるもので検証する)しかできません。でも現代は「目に見えないもの」を利用して産業が発展しています。ところが日本人のほとんどは、その世界についていくことができていないのだと思います。
 かつて「日本が最先端産業で世界をリードしていた」と思っていましたが、現在リードするどころか日本の大部分の産業がアナログな旧産業にしがみついているのは、日本人のほとんどがニュートン力学のままだからなのかもしれません。
 
 この本の著者は「レナード・ムロディナウ」という1954年アメリカ生まれの物理学者、作家、脚本家だそうです。カリフォルニア工科大学で量子力学の研究をしながら「新スタートレック」などのテレビドラマの脚本執筆やゲーム制作をしている人です。私と同世代ななのですが、量子力学の中で活躍しているのです。

 「この本に出合えてよかった」と思います。この本に今出会えなければ、死ぬまで量子の世界は全くわからないままだったのです。もちろんこれからそれがどう役立つのかわかりませんが、「明日死ぬと思って今日を生きなさい、そしてとわに命があると思って今日学びなさい」(ガンジー)だからです。
 翻訳家の水谷淳さんにも感謝いたします。ありがとうございました。

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