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2022.08.04

相続・贈与一体課税の行方

税務に関する情報

 令和元年9月に政府税制調査会がまとめた「経済社会の構造変化を踏まえた令和時代の税制にあり方」のなかで、相続税と贈与税を一体的に課税する仕組みについて「検討を進める必要がある」とされました。
 その後の税制改正論議の中で具体的な提案がなされることもなく現在に至りますが、この「相続・贈与一体課税」というのは、過去に贈与した財産もすべて相続時に「課税し直して清算する」というせいどですから、強烈な相続税の節税封じとなります。一般的には贈与税の税率の方が相続税より高いのですが、平均寿命が伸び続ける中で早い時期から贈与を続けることにより、低率な贈与税によって大きな財産を次の世代に移転させることが可能になります。
 現在の日本の相続税の課税最低限度は、3000万円+600万円×法定相続人の人数という極めて少ない金額でも相続税の課税対象になってしまうという、極めて広範な人に課税する制度となっています。したがって、毎年贈与することなんてできない高齢者は、贈与による対策を行いづらいのに対し、高収入で金融資産リッチな高齢者は、生前贈与をしっかり長期間にわたって行うことにより、負担税率を大幅に引き下げることができます。
 コロナ禍が今後鎮まってくれば、必ずコロナ対策で深く傷んでいる日本の財政の健全化のための増税が話題になってきます。そしてその方向性は、今まで消費税と資産税だったのですが、消費税はすでに10%に引き上げてしまったので当面その税率を引上げる提案は出てこないでしょうが、「相続税の課税強化」、「資産課税」は必ず机上に乗せられます。
 資産課税の強化にとってのウルトラcは
➀相続税と贈与税の一体課税
➁金融資産税
ということになります。今後の議論を見守りたいものです。

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