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2020.11.19

家計の可処分所得統計にみるコロナショックの衝撃

 政府は令和2年10月16日に、令和2年4月から6月までの「家計可処分所得・家計貯蓄率四半期別速報」を発表しました。それによると、この4半期において家計の可処分所得は前年同期に比較して8兆2426億円増加し、貯蓄は16兆4042億円増加しています。貯蓄率は前年同期の5.8%から24.2%に跳ね上がっています。
 この原因は、一人10万円の給付があり、雇用者報酬は2兆987億円減少しましたが、その他の経常移転収入が9兆2,636億円あり、家計消費支出が8兆1,178億円減少したからです。

 新型コロナウイルスは、パンデミックを引き起こし世界中で5,564万人の人が感染し(令和2年11月18日午後6時時点)、数十万人の死者を出しています。世界の経済活動が制限され、国家間の移動は極端に少なくなっています。この状況下で多くの人が「世界大恐慌より酷い経済恐慌に陥る」と思ったはずです。ところが現在のところ、日本の株価はバブル崩壊後の最高値を更新し、アメリカでは1100万人を超え、死亡者が248,672人も出たというのに、株価は好調で暴落の気配がありません。

 なぜこのように世界大恐慌が起こらないのかという理由は、政府が発表した家計可処分所得の四半期統計に隠されています。世界中の多くの人々が消費を抑えているのですから、景気は悪くなるはずなのですが、各国が積極的な財政支出をしているため、今のところ家計の可処分所得が減っていないのです。

 しかし、このような積極財政支出は無制限に続けるわけにはいきませんから、最終的に世界の消費者支出が増加しない限り経済恐慌が「あとからやってくる」可能性はあります。ただ、私たちはこの事実をしっかりと見つめなければなりません。マクロ経済で見ればこのコロナ禍の中で家計は貯蓄を減らしてないのです。したがって住宅や自家用車などの大型消費や金融投資はビジネスチャンスが膨らんでいるという見方もできます。

 いずれにしても現代の経済は、今までの発想の通りにはいきません。だからこそ、このような現実をしっかり見なくてはなりません。今後の展開は予断を許しませんが、不況だと決めつけるのも考え物だということです。

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